「仕事を辞めるにはどんな手順を踏めば良いのか」など、どのように会社を辞めればいいのかわからないという人は意外に多いものです。
会社を辞める際に正しい手順を踏むためには、法的なルールや就業規則を確認する準備期間が必要です。
この準備期間に、いつまでにすべてを完了させる必要があるのかという明確なスケジュールを立てることができるます。
この記事では、押さえて欲しい退職の意思の伝え方や辞め方の手順や退職時に起こりうるトラブルへの対処法についてご紹介します。
社会人としてのマナーを守り、円満な退職を目指しましょう。
仕事を辞める前に考えるべきこと
なぜ仕事を辞めるのかを再確認する
退職の意思を伝える前に、自分の気持ちを再確認し、仕事を辞めたい理由を明確にすることがとても大切です。
曖昧な理由で退職することはできません。一時的な不満で辞めたいのか、職場そのものに問題があるのか、はっきりさせることが大切です。
退職の理由によっては、職場の部署や業務内容、勤務時間などを変えることで解決できる可能性もあります。
まずは、本当に辞めることが解決策なのか、退職する必要があるのか、よく考えることが大切です。
また、経済的に退職するのに適した時期なのか、ボーナスが出る予定であったり、今後のプロジェクトがある場合は、まだ転職するのは賢明ではないかもしれません。
決断する前に、その職務に留まることで得られるスキルや経験について考えてみてください。
そうすることで、最初の決断を見直すことができるかもしれません。
退職の意思が固まれば、今後どのような仕事をしたいか、仕事とプライベートのバランスをどうとるかなど、転職活動の基盤が自然に見えてきます。
退職の理由は、退職したい旨を会社に伝える際にも伝えなければならないので、よく考えてから行動に移しましょう。
ライフスタイルの変化や成長・学習の機会など、メリットとデメリットの両方を考慮し、転職の準備を整えましょう。
就業規則を確認する
仕事を辞めることを決めたら、まずは会社の就業規則を確認しましょう。
ほとんどの会社には、退職までの期間や手続きについて記載された就業規則があります。
まずは、何ヶ月前までに退職を伝えればいいいのか確認しましょう。
また、有給休暇や退職金についても事前に確認しておくことが大切です。
さらに、後々のトラブルを避けるため、退職前に取得可能な有給休暇はすべて消化し、受け取ることのできる退職金があれば受け取っておくようにしましょう。
仕事を辞めるタイミングは?
仕事を辞めるタイミングも非常に重要です。
次の就職先を決めてから仕事を辞める場合でも、現在の職場の都合を考える必要があります。
一般的に、仕事を辞めるタイミングとして、繁忙期は避けた方が良いと言われています。
繁忙期に退職すると、会社にとって痛手となり、迷惑をかけることになります。
職場の事情も考慮し、この判断はきちんと考慮しないと大きな混乱を招く可能性があります。
閑散期や担当しているプロジェクトが一段落したタイミングで退職し、仕事の引継ぎに余裕を持たせるのがベストです。
また、退職の意思を伝える時期も、繁忙期を避けた方が無難です。
繁忙期は引き止められ、冷静に退職の話ができない可能性があります。
忙しくない時期に行動を起こせば、円滑に話しが進むことが多いでしょう。
就活の計画を立てる
退職が決まり、退職希望時期や就業規則が確認できたら、転職先のスケジュールを立てる必要があります。
自己都合退職の場合、認定日から3ヶ月を過ぎないと失業保険はもらえません。
失業保険を受け取るまでの期間、健康保険料、国民年金、家賃、光熱費、生活費などの支払いが大変になります。
退職後すぐに次の職場で働けるよう、あらかじめ転職活動のスケジュールを立てておくことが大切です。
スムーズに転職するためには、会社の閑散期に余裕を持って転職活動を行い、自分のルールやライフスタイル、専門分野に合った転職先候補にアプローチすることがポイントです。
また、仕事と並行しながら無理なく転職活動を行えるようなスケジュールを組むとよいでしょう。
会社の辞め方を知って円満退職
一般的な正社員の場合、会社の承認がなくても、2週間前までに退職届を提出すれば退職することができます。
しかし、期間の定めのある契約社員の場合は、体調不良などのやむを得ない理由がない限り、契約期間内の退職は認められません。
退職の手続きを円滑かつ円満に進めるためには、退職届を提出する前に、法的な要件を理解・遵守するとともに、雇用契約上のルールや条件をよく理解しておくことが大切です。
また、会社や状況によっては、退職の手続きが細かく規定されている場合もあります。
期間の定めがない雇用契約
「民法第627条第1項」によれば、正社員のように期間の定めのない雇用契約の場合、退職届は会社の承諾がなくても、退職の2周間前までに提出すればよいことになっています。
しかし、大半の企業では、就業規則で「退職の○ヶ月前までに退職届を提出すること」と定めています。
基本は、会社の就業規則に従うことです。
そのため、期間の定めのない人の会社の辞め方については、まず会社の就業規則を確認しましょう。
そうすれば、関係者にとって最も有益な方法で、円満に退職できる可能性が高まります。
期間の定めがある雇用契約(有期雇用)
契約社員のような期間の定めのある雇用契約の場合、契約期間の途中で会社を辞めることは原則できません。
しかし、民法628条は、「やむを得ない事由」がある場合に限り、契約期間の途中であっても解雇を取り消すことができると定めています。
やむを得ない事由とは、「妊娠・出産・育児・介護」などの個人的な事情や、「賃金の未払い・月100時間を超える時間外労働」などの会社側の行為などです。
しかし、法律ではやむを得ない理由について何も定義されていないので、法律の専門家の助けを借りずにこれらの事情が何であるかを特定するのは難しいかもしれません。
また、会社の了解を得ずに退職すると、損害賠償を請求されるおそれがありますので、退職の方法については慎重に考えた方がよいでしょう。
使用者側と交渉して退職に同意してもらうなど、法的な争いにならずに退職を認めてもらうための手段を講じる必要があります。
会社の辞め方の基本の流れ
退職の意志を伝える
退職を決意したら、まず直属の上司に口頭またはメールでアポイントをとり、一対一で話し合う時間を作ってもらいましょう。
退職の相談は、必ず直属の上司に直接するのが社会人としてのマナーです。
まず直属の上司以外に退職の相談をし、周りの噂で上司の耳に入ると、トラブルの元になる可能性があります。
故意でなくとも、間違った相手に自分の意思を相談することは、思った以上に弊害になることがあります。
現在の同僚や直属の上司とのトラブルを避けるためにも、退職の意思を表明するときは慎重になることが大切です。
承諾されたら退職願を提出
上司の退職の承諾が得られたら、退職願を提出します。
退職願とは、「○○年○月○日付けで退職したい」と意思表示するための書類です。
会社によっては、退職願を必要としないところもありますので、事前に直属の上司に確認してください。
また、会社によっては、氏名を記入する欄や退職日を記入する欄などの書式がある場合もありますので、会社独自の退職条件がある場合は必ず問い合わせてください。
退職願で退職理由を詳細に記載する必要はありません。自己都合で退職する場合は、「一身上の都合により」と記載しましょう。
業務の引き継ぎ
退社時に引き継ぎを怠ると、会社や取引先に迷惑をかけることになります。
引継ぎは責任を持って、必要な時に確実に行いましょう。
後任者が理解しやすく、退社後のトラブルを回避できるように、仕事の手順や注意事項を詳しく説明した文書を作成しましょう。
会社の方針、顧客の嗜好、使用する技術、個々の顧客の詳細などを盛り込みます。
資料だけではわからないこともあると思いますので、口頭で説明しながら引き継ぐとよいでしょう。
その際、滞っている業務や現在の顧客の状況など、必要な情報は必ず伝えるようにしましょう。
また、よくある問題については、解決策を提示しておくと、引継ぎ後の業務管理の助けになります。
さらに、引き継ぎ計画をすべての関係者に伝え、必要な担当者と話し合い、疑問や質問を明確にするために話し合いの記録を残しておくと、時間と労力を節約することができるため、強くお勧めします。
円満退社のためには、仕事の引継ぎを丁寧に行うことが大切です。
社内・社外への退職の挨拶
社内への挨拶するタイミングとしては、退職が決まり、退職願が受理された後が理想的です。
なぜなら、会社に受理される前に退職の噂が広まると、大きな混乱を招いたりする可能性があるからです。
また、必要であれば、取引先や顧客に対して退職の挨拶をし、後任者を紹介することも大切です。
円滑な引継ぎには、互恵的な関係が継続するよう、活性化させ、建設的な対話を行うことが重要です。
退職当日にいきなり後任者にバトンタッチすると、取引先も後任者も混乱し、業務に支障をきたす可能性があります。
また、自分が在籍している間に後任者に引き継ぎし、取引先と問題なく溶け込めるかどうかを確認することも大切です。
また、後任者への引継ぎは、自分がまだ会社に在籍しているうちに行い、取引先と問題なく溶け込めるようにすることが大切です。
上司や人事の指示に従い、挨拶のタイミングを見極めましょう。
有給休暇を消化
法律により、従業員には有給休暇を取得する権利があります。
退職までに有給休暇が残っている場合は、すべて申請して使用することをお勧めします。
就業規則で有給休暇の取得日数を確認し、引き継ぎと有給休暇の取得を同時に行えるように調整しましょう。
引継ぎの途中で有給休暇の消化を始めると、後任者の業務負担が増えるなど、引継ぎに悪影響を及ぼすことがあるので注意しましょう。
有給休暇を取り損ねることがないよう、明確なスケジュールと計画を立て、できるだけスムーズに引継ぎできるようにしましょう。
退職当日までに返却するものを確認
会社の機密情報が意図せずに持ち出されることがないよう、すべての書類、パソコンなどのデジタル機器を返却します。
また、自分の名刺はもちろん、取引先の名刺についても会社の情報であるため返却するのが一般的です。
社員証や制服、会社から支給された事務用品も忘れずに返却しましょう。
在職中に使用した机やロッカーに忘れ物がないか確認し、退社前に丁寧に掃除しておくのがマナーです。
また、在職中に使用したものは、どんな小さなものでも、忘れ物がないようにしっかり点検しておきましょう。
失業保険や健康保険の手続き
前の会社を辞めてから就職しなかった場合、失業保険と医療保険に加入する必要があります。
お住まいの地域を管轄するハローワークを探し、その指示に従ってください。
失業保険の受給資格は、就職の意思とノウハウがありながら就職できなかった場合や、退職時に雇用保険に加入していた場合です。
申請前にハローワークで相談し、手続きを簡略化することが賢明な選択です。
また、退職日の翌日から適用されない会社の健康保険への移行手続きも迅速に行うことが肝要です。
退職後の健康保険は、「国民健康保険」「任意継続制度」「家族の被扶養者としての加入」の3つの選択肢があります。
手続きには期限がありますので、忘れずに手続きを行いましょう。
会社の辞める際の注意点
繁忙期は可能な限り避ける
繁忙期は会社が忙しく、引継ぎ期間を長く取れない可能性もあるので、なるべく混乱が起きないように退職を計画することで、円満に退職することができます。
閑散期や担当プロジェクトの終了時など、業務が落ち着いていて引き継ぎがしやすい時期を選べば、後任者への引き継ぎもスムーズになります。
安定した時期に退職することで、繁忙期には難しい後始末をしっかり行えるなど、メリットはたくさんあります。
繁忙期でない時期に退職することで、後任者が新しい仕事を始めることができ、繁忙期を迎える前に調整する時間を確保できるというメリットもあります。
また、退職の話をするときも、できれば繁忙期を避けた方が、上司と落ち着いて話ができるはずです。
退職の理由をネガティブにしない
退職を伝える際、給与や仕事内容、人間関係などの会社に対する不満は正直に言わない方がよいでしょう。
そのような不満は、たとえ正当なものであっても、苦痛を与えるだけで、根本的な問題解決にはならない可能性があります。
とはいえ、不満の原因が会社の待遇や人間関係への不満である場合、会社はあなたを引き留めようとするかもしれませんし、改善するといった解決策を提示するかもしれません。
しかし、この時点ですでにダメージは大きくなっているかもしれません。
さらに、不満を正直に話してしまうと、退職する前に印象が悪くなってしまうこともあります。
円満退職のためには、ネガティブな退職理由は明かさず、ポジティブな表現で退職の意思を伝えるようにしましょう。
引き留めにあった場合にどうするかを考えておく
会社に引き留められても、振り切ることが大切です。
引き留められたまま会社に居続けると、退職のタイミングを見失うことになります。
また、退職したことが周囲に知れ渡ると、社内での立場が変わってしまうこともあります。
プレッシャーに負けて会社に残ってしまうと、他のチャンスを探す歩みが止まってしまうので、とても重要なことです。
どんなプレッシャーがあろうとも、退職という選択をしたのは、自分の立場を向上させるための決断であったことを忘れず、そこからブレないことが大切です。
自分の進むべき道が開けていると確信したら、自分の意志を曲げずに計画を進めましょう。
転職先を見つけてから意思を伝える
可能な限り、会社を辞める前に新しい仕事を見つけることをお勧めします。
なぜなら、転職先が決まっていることで、精神的に余裕を持って今の仕事を辞めることができるからです。
逆に、転職先が決まらないまま会社を辞めてしまうと、将来への不安や行き場のない焦りを感じてしまうかもしれません。
さらに、無職の状態から再就職するのは難しいかもしれません。
どうしてもすぐに辞めたいのでなければ、退職前に再就職先を確保しておいた方が、経済的にも安心です。
転職活動の準備と計画を立てれば、理想の仕事に出会える可能性は高くなります。
転職活動を知られないようにする
在職中に転職活動をする人もいるかもしれませんが、そのことは周囲に明かさない方が賢明です。
社内で退職の報告をしていない段階で「転職活動している」「退職を予定している」という噂が広まると、職場が混乱し、トラブルになる可能性があります。
トラブルを避けるためには、転職先の具体的な会社名を出す必要はなく、「別の職場に移る予定です」などの言葉だけで説明した方が、噂話の引き金になったり、職場に過度の混乱を招かないかもしれません。
退職の意思の伝え方
会社によっては、退職の理由を聞かれることがありますが、本当のことを言う必要はありません。
特に上司に退職の意思を伝える際には、納得のいく口実を考えることが重要です。
上司に退職の意思を伝える際には、「お世話になりました」など、お世話になったことへの感謝の気持ちを伝え、その上で退職の理由を述べることが大切です。
会社を辞める理由は、転居したい、新しいことに挑戦したい、会社が提示する給与より高いものを探しているなど、さまざまです。
ここでは、退職理由の例と、効果的な退職の戦略を立て、ポジティブに会社を去るためのアドバイスを紹介します。
円満に退職するためのポイント
円満退社のためには、直属の上司に退職の意思を伝えることが必要です。
退職の理由を明確に説明し、最終日までに必要なことをすべて終わらせるつもりであることを伝えることが重要です。
退職を決めたとしても、退職日までは通常通り仕事をする必要があります。
引き継ぎや社内外への挨拶などの時間も必要ですので、上司の理解は欠かせません。
次の章では、退職の意思を円満に伝えるための主なポイントを紹介します。
退職相談のためのアポイントを取る
突然、退職願を提出すると、円満退職から遠ざかってしまう可能性があります。
まずは相談という形をとることが大切です。
上司の都合に合わせて、1対1の面談をセッティングしてもらいましょう。
言いにくければ、「相談したいことがあるのですが」と言えばよいでしょう。
さらに、事前に十分な準備をしておくと、何を話し、どのように退職の決意を説明するのかが正確に伝わります。
まだ退職を迷っている状態では相談しない
退職の意志が固まるまでは、退職の相談をするのはやめましょう。
そうしないと、あなたの評判を落とすことになりますし、仮に留まることになったとしても、仕事がやりにくくなる可能性があります。
ですから、退職の意志を表明するのは、しっかりとした決意を固めてからにしたほうがよいでしょう。
したがって、時間をかけてあらゆる要素を評価した上で結論を出すべきです。
難しい決断ではありますが、現在と将来の両方の影響を考慮し、じっくりと考えることが大切です。
会社を辞める理由の伝え方
会社によっては、退職理由の提示を求められることがあります。
退職理由を全て正直に話す必要はありませんが、上司が納得するような正当な理由を用意することが大切です。
上司に退職を伝える際は、「今までお世話になりました」など感謝の気持ちを伝え、その後に退職理由を述べることが大切です。
ここでは、退職理由の事例を紹介します。
ポジティブな退職理由
退職の本当の理由は、「給料が安い」「休みが取れない」「人間関係が悪い」など、ネガティブなものが多いかもしれません。
一方、「今の職場で働き続けたかったが、もっとやりたいことが見つかった」、「資格取得のために勉強に専念したい」、「個人で開業することにした」など、ポジティブな退職理由を伝えることも大切です。
待遇への不満を率直に表現することで、改善するからと辞めることを思いとどまらされるかもしれません。
家庭の事情による理由
「家族の介護をしなければならない」、「結婚や妊娠を機に退職したい」、「体調が悪化したので静養することにした」など、家庭内の事情であれば、会社側も退職に反対しにくい傾向があるようです。
退職理由が健康上のもので、勤務状況によって悪化した病状がある場合は、会社側も退職に応じる可能性が高くなります。
同時に、これらの理由は、正直で率直である一方で、敬意を払った言い方をする必要があります。
退職理由が言いにくいからと曖昧な表現をしてしまうと、状況によっては退職が見過ごされる可能性があります。
上司と退職の話をする際には、退職の意思をはっきりと伝え、その理由を説明することが重要です。
会社を辞めるときのトラブルと対処法
退職を認めてもらえない場合
会社が一方的に退職を認めない場合、行政機関に援助を求める方法があります。
会社を管轄する「労働基準監督署」に退職を認めてもらえない旨を伝えると、会社に対して指導してくれます。
それでもダメな場合は、労働基準監督署の上部組織の「労働局」に相談しましょう。
労働局は、会社を指導するほか、労働者と会社が話し合う場を斡旋し、専門家の仲介で問題を解決を図る場所を斡旋してくれます。
労働基準監督署や労働局で効果がない場合、最終手段として裁判での解決になることもあります。
何よりも、退職の意思を示す証拠を残しておくことが大切です。
直属の上司や人事担当者にメールを送るか、会社に退職届を「配達証明付きの内容証明郵便」で送るなどして、証拠を残しておくとよいでしょう。
退職すると言ったら損害賠償を請求された場合
労働者から退職することを知らされた後、雇用主が損害賠償を請求すると警告されるという場合があります。
しかし、雇用契約書に違約金や教育訓練費の返還の定めがない場合は、損害賠償を請求することはできません。
仮に、雇用契約においてそのような契約が結ばれていたとしても、「労働基準法第16条」により、従業員が賠償を予定することは禁止されていますので、基本的には、研修費等の損害賠償請求は無効となります。
ただし、「民法628条」に規定されているように、退職の原因が会社または当事者のどちらかの過失によるものであれば、損害賠償請求が可能な場合があります。
会社都合で退職日を決定される場合
会社の都合で退職日を延期した場合、労働者側の意思表示のみで雇用関係を合法的に解消することが可能です。
仕事との兼ね合いもありますが、上記のように、2週間以上前に退職届を提出すれば、会社の同意がなくても労働者は退職できると定められています。
有給休暇の消化を認めてくれない場合
労働者には有給休暇を取得する権利があり、条件を満たせば、退職時に有給休暇を取得することができます。
有給休暇取得の条件は、入社後6カ月以上勤務し、全労働日の8割以上勤務していることです。
原則として、会社は有給休暇の申請を拒否することはできません。
有給休暇の取得について、「就業規則に記載がないから許可しない」と表明した場合、ルール違反となります。
もし、会社が有給休暇の取得を拒否されて、社内で相談しにくい場合は、労働基準監督署に相談することをお勧めします。
退職金がもらえない場合
退職金というと定年退職時に支給されるものと考えている人が多いようですが、自己都合で会社を辞める場合にも支給されます。
退職時に退職金が支払われない場合、いくつかの原因が考えられます。
退職金制度がない
会社に退職金制度がない場合は、法律で定められていないため、請求することはできません。
退職金制度の有無は、就業規則を確認することで判断することができます。
退職金制度があるのに会社側が支払わない
就業規則や雇用契約書に退職金制度が定められている場合や、就業規則や雇用契約書には明記されていないが過去の慣行で退職金制度が存在した場合は、退職時に退職金を請求できる場合があります。
請求の裏付けとして、雇用期間を証明する書類を用意する必要があります。
これには、あなたが会社に専念していたことを示すタイムカードやシフト表が含まれます。
さらに、あなたの主張に信憑性をもたせることができるものには、給与明細や銀行の通帳などが含まれています。
これらはあなたの雇用期間を証明するだけでなく、あなたが受け取っている正確な給与額を引き出すことができます。
まとめ
事前に直属の上司との面談を行い、最初の一言で退職の意思が伝わるようにしましょう。
退職のタイミングは、「転職先の入社日」と「今の会社になるべく迷惑をかけない時期」の両方を考慮して決めるのがベストです。
目安としては、遅くとも1ヶ月前には退職の意思を伝えるのがマナーです。
退職の理由を事前に説明できるように準備しておきましょう。
結論として、会社を辞めるつもりなら、法的義務を念頭に置き、慎重に検討した上で、事前に準備することが重要です。
退職の手続きに追われがちですが、同僚や上司と良好な関係を保つためにも、十分な準備をして職場を離れることが大切です。
事前に自分の意思を伝え、正しい退職手続きに従うことを確認しましょう。
礼儀正しく、敬意を払い、マナーを守り、円満に退職できるように努めましょう。